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Windows Server 2016サポート終了、5つの選択肢
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株式会社Riize Advisors 代表取締役
細倉 尚将
外資系コンサルティングファームにてM&A戦略・新規事業立案等に従事した後、株式会社Riize Advisorsを創業。コンサルタントとエンジニアのチームで、AI・システム開発を構想から実装・運用まで支援している。
「社内のサーバーがWindows Server 2016で、もうすぐサポートが切れると保守会社から言われましたが、何から手を付ければよいか分かりません」「サーバーで動いている販売管理のシステムを作った会社と、今は連絡が取れません」「OSを上げるだけで済むのか、この機会にシステムごと見直すべきか迷っています」。社内にサーバーを置いて業務システムを動かしている企業から、こうした声が聞かれます。この記事では、2027年1月12日のサポート終了で何が止まるのか、サーバーの上で動いているものの棚卸しの仕方、5つの選択肢の向き不向き、期限から逆算した進め方と落とし穴をお伝えします。
Windows Server 2016のサポート終了で何が止まるのか
Microsoft の「Windows Server のリリース情報」によると、Windows Server 2016の延長サポートの終了日は2027年1月12日です。Microsoft Lifecycle の Windows Server 2016 のページにあるとおり、新しい機能や改善が届くメインストリームサポートは2022年1月にすでに終わっていて、今はセキュリティ更新が中心の延長サポートの期間にあります。対象のエディションは Datacenter、Essentials、MultiPoint Premium、Standard です。
延長サポートが終わると何が起きるかについて、Microsoft の Windows IT Pro Blog「Plan for Windows Server 2016 and Windows 10 2016 LTSB end of support」は、終了日に最後の月例のセキュリティ更新が届き、その後はセキュリティ更新、セキュリティ以外の更新、不具合の修正、テクニカルサポート、オンラインの技術情報の更新がいずれも提供されなくなると説明しています。
注意したいのは、期限の翌日にサーバーが止まるわけではないことです。業務システムはそのまま動き続けます。ただ、その後に見つかった弱点は修正されません。IPA の「Windows 10 のサポート終了に伴う注意喚起」はパソコン向けのOSについての注意喚起ですが、サポート終了後に見つかった脆弱性は修正が行われない可能性が高く、脆弱性を悪用した攻撃による情報漏えいや意図しないサービスの停止などの被害を受ける可能性が高くなる、と述べています。顧客や取引の情報が集まる業務システムのサーバーでは、同じことがより大きな影響につながります。
同じサーバーのSQL Server 2016は、すでに期限を過ぎています
業務システムのデータベースとして、同じ時期のSQL Server 2016を使っていることもよくあります。Microsoft Lifecycle の SQL Server 2016 のページによると、SQL Server 2016の延長サポートは2026年7月に終わっていて、2026年10月の時点ではすでに期限を過ぎています。同じページには、拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)の1年目から3年目までの期間も載っています。
また、Microsoft の「サポート終了オプション - SQL Server」の表では、SQL Server 2017の延長サポートの終了年も2027年です。OSだけを見て「あと数か月ある」と考えていると、データベースの方が先に期限を迎えていた、ということが起こります。棚卸しでは、OSとデータベースのバージョンを必ず両方確かめます。
ESUは「つなぎ」の仕組みです
期限までに移行が終わらない場合のために、Microsoftは拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)を用意しています。先ほどのブログによると、Windows Server 2016を2027年1月12日までに上げられない場合、ESUを最大3年分購入できます。
ただし、ESUでできることは限られています。Microsoft の「製品ライフサイクルに関する FAQ - 拡張セキュリティ更新プログラム」は、ESUを、新しい環境へ移る間のセキュリティを保つための暫定的な措置で、長期的な解決策ではないと位置づけています。届くのは「緊急」または「重要」と評価されたセキュリティ更新で、新しい機能や、セキュリティ以外の修正の要望は含まれません。製品のライフサイクルを延長するものでもなく、元のサポート期間を超えてテクニカルサポートを提供するものでもないと明記されています。
まず棚卸し:サーバーの上で何が動いているか
選択肢を比べる前に、そのサーバーで何が動いているかを一覧にします。長く使ってきたサーバーには、導入時の業務システムだけでなく、後から足されたツールや共有の設定が積み重なっています。サーバーの入れ替えのご相談では、OSより先に、その上で動く業務アプリや自作のツールの扱いで判断が止まることが多くあります。
| 確認する対象 | 確認すること | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| OS・ハードウェア | OSのバージョンとエディション、サーバー機器の保守期限 | OSより先に機器の保守が切れている場合があること |
| ミドルウェア・データベース | SQL Server などのバージョンと、その期限 | OSとは別に期限があり、先に切れている場合があること |
| 業務アプリ | 販売管理・生産管理などのパッケージや受託開発のシステムと、その提供元 | 新しいOSで動くかを提供元が保証しているかどうか |
| 自作のツール | Access のデータベース、Excel のマクロ、夜間に動くバッチやスクリプト | 担当者の個人の判断で置かれ、一覧にないものがあること |
| 共有フォルダ | 部署ごとの共有フォルダと、その使われ方 | ほかのツールがファイルの置き場所を前提にしていること |
| 連携 | 他のシステム、取引先、複合機、クラウドのサービスとのデータのやり取り | 接続先の設定にサーバーの名前やアドレスが書き込まれていること |
| バックアップ | 何を、どこへ、どの頻度で保存しているか、戻せるか | 戻す手順を一度も試していないこと |
| 契約・ライセンス | OS・データベース・業務アプリのライセンス、保守契約、保守会社の連絡先 | 契約の更新日や対象範囲が、移行の計画と合っていないこと |
自作のツールは、特に見落とされやすい対象です。Access で作った業務の仕組みが残っている場合の移し方は、Access で作った業務の仕組みの移行の選択肢で詳しく説明しています。Excel のマクロで回している業務がある場合は、Excel管理の限界サインとシステム化の判断も参考になります。
業務の側からも見ます
技術の一覧とあわせて、業務の側からも整理します。そのサーバーが止まったときにどの業務が止まるか、誰がどのくらいの頻度で使っているか、月末の締めや年に一度の処理など、普段は見えない使われ方がないかを、現場の担当者に聞いて確かめます。ここで「止まると受注や出荷が止まる業務」と「止まっても当面は手作業で回せる業務」を分けておくと、次の選択肢の判断がしやすくなります。
5つの選択肢と向き不向き
選択肢は大きく5つあります。サーバー1台に複数の業務が載っていることが多いため、全体で一つを選ぶのではなく、業務ごとに選ぶのが現実的です。
| 選択肢 | 向いている場合 | 注意すること |
|---|---|---|
| 1. 新しいOSへの更新・載せ替え | 業務アプリの提供元が新しいOSでの動作を保証している場合 | 業務アプリの古さはそのまま残ること |
| 2. クラウド(IaaS)への移行 | サーバー機器の保守も切れる時期で、構成をなるべく変えたくない場合 | OSやアプリの管理は引き続き自社に残ること |
| 3. SaaSへの置き換え | 会計・勤怠・経費精算など、どの会社でもやり方が近い業務の場合 | 業務のやり方をSaaSの側に合わせる必要があること |
| 4. 業務システムの作り直し | 自社独自のやり方が強みになっている中核の業務で、今のシステムが業務に合わなくなっている場合 | 要件を決める時間が要り、期限までに終わらないことがあること |
| 5. ESUでのつなぎ | 期限までに1〜4が終わらない場合 | 長期の解決策ではなく、出口の計画が要ること |
1. 新しいOSへの更新・新しいサーバーへの載せ替え
最も変更が少ないのは、OSを新しいバージョンに上げる方法です。Microsoft の「Windows Server アップグレード パスを計画する」によると、Windows Server 2016からは、インストールメディアを使って Windows Server 2019、2022、2025 へ同じサーバーのままアップグレード(インプレースアップグレード)できます。同じページは、新しいハードウェアに移る場合は移行(新しいサーバーに新しいOSを入れ、役割やデータを移す方法)を勧めていて、どの方法でも事前にシステムと重要なファイルをバックアップするよう求めています。アップグレードごとに別のライセンスが必要であることも書かれています。
どのバージョンへ上げるかは、次の期限も見て決めます。リリース情報のページでは、延長サポートの終了日は Windows Server 2019 が2029年1月9日、2022 が2031年10月14日、2025 が2034年11月14日です。2019へ上げると、2年あまりで同じ検討をもう一度することになります。
この方法の前提は、業務アプリが新しいOSで動くことです。OSは上げられても、業務アプリの提供元が新しいOSを対象外としている、または提供元がすでにない、という場合は、この方法だけでは解決しません。
2. クラウド(IaaS)へ移す
サーバー機器の保守期限も近い場合は、サーバーをクラウドの仮想マシンに移す方法があります。機器の故障や入れ替えの心配はなくなりますが、OSや業務アプリの更新は引き続き自社や保守会社の仕事として残ります。古いOSのまま移しても、サポート終了の問題そのものは解決しない点に注意が必要です。
クラウド上でESUを使う場合の条件も、提供元によって異なります。移行を決める前に、Microsoftやパートナーの最新の案内で確かめてください。
3. 業務システムをSaaSに置き換える
会計、勤怠、経費精算のように、どの会社でもやり方が近い業務は、サーバーで動かし続けるより、SaaSに置き換える方が向いている場合が多くあります。OSやデータベースの期限を自社で追いかける必要がなくなるのが大きな利点です。
一方で、SaaSに業務を合わせる必要があり、今のシステムにある独自の帳票や計算をそのまま持ち込めるとは限りません。過去のデータをどこまで移すかと、他のシステムとの連携をどうつなぎ直すかも、先に決めておきます。
4. この機会に業務システムを作り直す
見積の作り方や受発注の条件、在庫の引当てのルールなど、自社独自のやり方が取引先からの評価や利益につながっている業務は、SaaSに合わせると強みを失うことがあります。こうした中核の業務で、今のシステムが業務の変化に追いつけていないなら、サーバーの期限は、必要な機能に絞って作り直すきっかけになります。
古いパッケージに追加開発を重ねてきた場合、新しいOSへ移すたびに、その追加開発も合わせて直す必要が出てきます。作り込みが次の改修の費用を押し上げる仕組みは基幹システムの追加開発費用が高くなる理由で説明しています。また、今は生成AIを使った開発によって、自社の業務に合わせたシステムを以前より短い期間や少ない費用で作れる場合があります。作り直すかどうかを比べるときの判断材料に入れておくとよいでしょう。業務を止めずに移すための計画やデータ移行の段取りは、基幹システムリプレイスの進め方で詳しく説明しています。
5. ESUで時間を買う
1〜4のどれを選んでも期限までに終わらない場合は、ESUで当面のセキュリティ更新を受けながら移行を進めます。購入の条件や費用は契約の形によって変わるため、早めに Microsoft のパートナーや販売店に確認します。
ESUを使う場合も、終わりの時期と、それまでに何を終えるかを先に決めておくことが大切です。FAQのとおり、ESUの間もテクニカルサポートは元のサポート期間を超えて提供されず、セキュリティ以外の不具合も直りません。「とりあえずESU」で3年を過ごすと、同じ問題が先に延びるだけになります。
作り直すなら「AIを前提に」考えます
業務システムを作り直す、またはSaaSと組み合わせて組み直す場合は、AIを使うことを前提に設計しておくと、後から使える手段が増えます。AIを使えるかどうかは、モデルの性能より、データがどこにどんな形であるかで決まることが多いためです。
長く使ってきたサーバーには、業務システムのデータベース、共有フォルダのファイル、Access や Excel の台帳に、同じ取引の情報が分かれて入っていることがよくあります。これを一つのデータの置き場所にそろえておくと、次のような使い方を検討しやすくなります。
- 紙やPDFで届く注文書や請求書を、AI-OCRで読み取って入力を自動化すること
- 共有フォルダに散らばった規程やマニュアルを、生成AIで検索できるようにすること
- 部署ごとに Excel で行っていた集計やレポートの作成を自動化すること
たとえば、医療卸の基幹システム刷新では、見積・受発注・請求がそれぞれ独立して管理されていた業務を工程単位で棚卸しし、単一のデータ基盤の上に組み直したうえで、AI-OCRによる入力の自動化を加えています。取り組みの概要は支援実績で紹介しています。社内の文書を生成AIで検索する仕組みの進め方は、社内文書を生成AIで検索するRAG導入の進め方で説明しています。
ただし、AIを入れること自体を目的にする必要はありません。どの業務をAIに任せると効果が大きいかは、手間と頻度と影響で見極めます。見極め方はAI化すべき業務の見極め方で詳しく書いています。今回すぐにAIを使わない場合でも、データを一か所にそろえ、項目の意味を決めておくだけで、後からAI開発の支援などで機能を足すときの手間が大きく変わります。
2027年1月12日から逆算した進め方
2026年10月の時点で、期限までは3か月ほどです。必要な期間はサーバーの台数や業務アプリの数によって大きく変わるため、ここでは期間ではなく、順番と前後の関係で示します。
| 段階 | 主な作業 | 次へ進む条件 |
|---|---|---|
| 1. 棚卸し | 前の章の表に沿って、サーバーの上で動いているものと契約を一覧にします | 一覧の各項目に、担当者と提供元が書き込まれていること |
| 2. 業務ごとの方針決め | 業務ごとに5つの選択肢のどれを取るかを決めます | 期限までに終わらない業務と、その間のESUの要否が決まっていること |
| 3. 提供元・保守会社との調整 | 新しいOSでの動作の保証、見積、ライセンスとESUの購入を確認します | 移行先の構成と費用、契約が決まっていること |
| 4. 構築とデータの移行 | 新しい環境を作り、データと連携の設定を移します | 移したデータの件数と金額が、元のデータと一致していること |
| 5. 業務での検証 | 現場の担当者が、日々の処理と月末の締めなどの処理を新しい環境で試します | 業務の担当者が、切り替えてよいと判断していること |
| 6. 切り替えと旧サーバーの停止 | 本番を切り替え、一定期間は旧サーバーを読み取り専用で残してから止めます | 旧サーバーを参照する処理が残っていないこと |
一番の分かれ目は2です。期限までに終わる業務と終わらない業務を分け、終わらない業務についてはESUを使うかどうかを、期限より前に決めておく必要があります。作り直しやSaaSへの置き換えを選んだ業務は、まず1の方法やESUで期限をしのぎ、その間に進める、という二段構えも現実的です。
よくある落とし穴
古い業務アプリが新しいOSで動かない
OSのアップグレード自体は成功しても、業務アプリが新しいOSで動かない、または提供元が動作を保証していないことがあります。印刷の設定や、古いバージョンの実行環境を前提にした部品が原因になることもあります。新しいOSを決める前に、提供元に対応状況を確認しておきます。
作った人がいない
自作のツールや受託開発のシステムでは、作った担当者や開発会社がもういないことがあります。その場合は、移行の前に、何をしているかを読み解く作業が必要になります。進め方はシステム担当者の退職・引き継ぎの進め方で詳しく説明しています。
ライセンス・保守契約の確認漏れ
Windows Server のアップグレードには新しいバージョンのライセンスが必要で、データベースや業務アプリにも別のライセンスと保守契約があります。保守契約の対象が「今のOSの上で動くこと」に限られていて、新しい環境では保守を受けられない、という場合もあります。契約の更新日と対象範囲を、棚卸しの段階で確かめておきます。
検証の期間が足りない
期限が近づくと、検証を短くして切り替えたくなります。しかし、月末の締めや年に一度の処理は、数日の検証では一度も通らないことがあります。どの処理をいつ試すかを先に決め、締めの処理を少なくとも一回は新しい環境で通してから切り替えることをお勧めします。
旧サーバーを止められない
切り替えた後に、誰かが共有フォルダの古いファイルを使っていた、別のツールが旧サーバーにデータを取りに来ていた、という理由で旧サーバーを止められないことがあります。止めない限り、サポートの切れたサーバーが社内に残り続けます。棚卸しで見つけた連携を、切り替えの前に一つずつつなぎ直しておきます。
まとめ:期限を、業務システムを見直すきっかけに
- Windows Server 2016の延長サポートは2027年1月12日に終わり、その後はセキュリティ更新もテクニカルサポートも提供されなくなります。同じサーバーで使われがちなSQL Server 2016は、2026年7月に延長サポートが終わっています。
- 最初にすることは、OS、データベース、業務アプリ、自作のツール、共有フォルダ、連携、バックアップ、契約の棚卸しです。業務の側からも、止まると困る業務を確かめます。
- 選択肢は、新しいOSへの更新、クラウドへの移行、SaaSへの置き換え、必要な機能に絞った作り直し、ESUでのつなぎの5つです。業務ごとに選び、組み合わせるのが現実的です。
- ESUは最大3年分を購入できますが、暫定的な措置で、テクニカルサポートを延ばすものではありません。使う場合は出口の時期を先に決めます。
- 作り直す場合は、データを一か所にそろえる設計にしておくと、AI-OCRによる入力の自動化や社内文書の検索、集計の自動化などを後から検討しやすくなります。
サーバーの上で動いている業務システムの棚卸しから、業務ごとの選択肢の判断、必要な機能に絞った作り直しまで、システム開発の支援でご相談いただけます。OSの更新で十分かどうかを確かめたい、という段階のご相談も歓迎しています。
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